『学校にハーブをひろめる運動』

〜運動のきっかけとなった朝日新聞「天声人語」で紹介されたコラム記事より〜



 先日、アメリカ西海岸を旅した知人の話。サンフランシスコ近郊の公立中学の校庭に『学校菜園』があるのを見た。ニンジン、ジャガイモ、ブロッコリーなどと書いた札が立っている。たっぷりと、2000ほどの広さだろうか。聞けば、有機農法で生徒たちが栽培しているのだという。トウモロコシ、キャベツ、大豆、トマトもできる。学校での昼食は、自分達の野菜を材料に生徒たちがこしらえる。菜園の近くに、長い木の食卓と30人〜40人は座れるベンチが置いてあった。かつては荒れた学校だったらしい。校舎は落書きだらけ、ガラスは割られ放題。けれども菜園と料理づくりを始めると、子ども達は少しずつ穏やかになっていった。落書きは消えた。ガラスも割られていない。評判が伝わり、カリフォルニア州当局が教育改革の一環に取り入れた。いま1000を超える公立中学に、こうした菜園があるという。その源は、有機農法の食材しか使わないレストランの店主、アリス・ウォーターズさんだ。店への生き帰りに見る中学校の荒れようが、彼女は気になっていた。自身、小学校で教えた経験もある。校長と知り合い、菜園をつくってみたら、と勧めた。『子ども達は出来合いのファーストフードばかり食べている。体にも、心の健康にも悪い』。食事の乱れは学校の乱れ、ひいては国の乱れ。店を訪ねた知人に彼女は語った。『家族一緒に、自分たちが作った料理を食べる機会が減ってしまった。みんなバラバラ』『子どもは畑と台所の両方から、生き物や他人への心遣いとか忍耐、自制心を学べるはずなのよ』。化学的根拠は知らないが、菜園づくりと心の穏やかさはたしかに関係がありそうだ。知人は今度の旅で何度か、次の言葉を聞いた。『いまのままの生き方では、世の中ダメになってしまう。いろんなことを試してみようよ』。
 
 このコラムに登場したアリス・ウォーターズ女史は、バークレー市にある有名なレストラン「シェ・パニス」のオーナーシェフである。「アメリカ社会をだめにしたのは、ファーストフードである」と問題提起し、学校やコミュニティーの食による革命「The Edible Schoolyard Project=食べられる学校菜園プロジェクト」の提唱者であり、推進者でもある。最初の「学校菜園」となった学校はあの「マルチン・ルター・キング・ジュニア中学校」で、現在、学校菜園の理想モデルとなっている。この学校の学校菜園は、生徒以外の地域の人々も巻き込んで成功した。多くの個人や団体が寄付を寄せ、それを基金としてこのプロジェクトは運営されているそうだ。





 
環境問題や、食糧問題以上に心配なのが「子ども達の異変」である、と教育関係者の間でささやかれています。確かに近年、学校での暴力事件やイジメが多発し「キレル」という言葉が流行語にもなりました。
 世の中が便利になったおかげで、コンビニエンススストアに行けば大抵の完成品が手に入ります。その結果、インスタント・キツネウドンの油揚げは大豆から、麺は小麦粉から作られていることすら知らない子どもが増えています。

 「現代の子ども達は完成品ばかり与えられた結果、知識と知識を結びつけることができない。この点で食や農を取り入れた教育は、総合教育の観点において大変意味があると思います。なぜなら教科を超えて子ども達が持っている知識がどんどん網の目のようにつながっていくと思うからです。」(農文協・食農教育より)



 時代を担う子ども達のための、ハーブを通じた教育について暗中模索していた私は、「カリフォルニアの学校菜園」の情報を聞き、「学校菜園」を「学校ハーブ園」に置き換えれば、もっと総合的な学習ができるのではと考えました。ハーブは、当然「農と食」の要素を含みます。そしてそれ以外にも、染色やクラフト、癒しと健康などの学習要素を含みます。「栽培する、食べる、飲む、香りを楽しむ、効能効果を研究する、その歴史を学ぶ」などの知識を、「種まきから収穫、利用」のプロセスのなかで一貫性をもって学習することは、2002年からの「児童・生徒が自発的に学ぶ学校への転換」にも合致すると思いました。
東京・板橋区立高島第一中学校園芸部の先生にこの運動の主旨を説明したところ、賛同を得られ、校長先生の許可もすぐ下りました。

 園芸部の生徒約10名でハーブティー向きハーブ苗を植栽しました。
そして99年4月28日、「学校にハーブをひろげる運動の第一号ガーデン」が完成しました。7月には高島第二中からも申し出があり、「第二号ガーデン」も作られました。
 7月25日、園芸部の生徒に部外の生徒も加わって、ハーブティーの講習会を開きました。
 10月16日には、高島第1中学の第一回家庭教育学級の講師として招かれ、「心にゆとりと潤いを・ハーブについて」というテーマで校長先生やPTAの方々50人の皆さんに講演を行いました。
この運動を知った板橋区長に運動の趣旨説明を行い、教育委員長も紹介していただきました。
12月16日には、東京都公立学校事務職員研究協議会の第35回研究大会(約500名の学校事務職員が参加)でこの運動をテーマにした講演を行いました。

 「アリス・ウォーターズ女史の食べられる学校菜園プロジェクト」から始まった「学校にハーブをひろめる運動」は、「高島第一中の園芸部の生徒と先生方」→「PTAのみなさん」→「板橋区長」→「東京都公立学校事務職員のみなさん」に広がっていきました。
「世の中に受け入れられるコンセプトをもった運動」は「運動自体がある意味の人格を形成して成長するものだ」と驚きをもってみつめています。
 あなたも21世紀を担う子ども達の心に、「大自然に対する感謝と愛という名前の植木」を植え付けてあげませんか。(JCGA会長・外山たら)


『学校ガーデンに子ども達の総合学習を取り入れる運動』



 総合的学習の講師として、東京・中野区立中野昭和小学校に行ってきました。
今回、講師として招かれたのは、「健康研究グループ」で「野菜やハーブを育て、食生活や健康問題を調べる」ということがテーマです。子供たちの手で野菜やハーブを育て、その成長ぶりから生命の尊さを学び、収穫した野菜やハーブを味わって利用法を研究し、食と健康の関係も実体験する。まさしく総合的学習です。
この春、ハーブの植栽について相談に見えた中野昭和小学校の先生方に、健康とハーブの関係を学習するのに一番手軽な方法としてハーブティーにできるハーブの栽培をすすめた結果、生徒たちの手によりハーブティー用のハーブが植栽されました。それから約4ヶ月、それらのハーブが収穫期になったので是非講習会をとの依頼で今回の訪問となったのです。
早速それをつみ取って、ハーブティーを飲みながら、ハーブの話を15人の生徒達にしました。「ハーブというのは、人類が誕生して以来何万年もの時間をかけて選ばれた、人類の役に立つ植物で、香りがよく、心身の薬になり、料理を美味しくしてくれるもの」などボクの退屈な話にも、目をきらきら輝かせながら、聞き入ってくれました。最後にレモングラスとピコロスで作った人形にブーケガルニのスカートをつけたブーケガルニ人形を生徒全員が製作して2時間の授業を終えました。
 私が感じたことは、子ども達は好奇心が旺盛、子ども達の好奇心を楽しく育ててあげたいなということでした。総合的学習にガーデニングは、おおいに役立ちます。2002年からの総合的学習の協力者になるべく皆さんも、もっともっとガーデニングを学習してください。(JCGA会長・外山たら)


『コミュニティーガーデンでの活動』




  板橋区のある議員さんが展覧会場にやってきて、現存するコミュニティーガーデンをハーブガーデンに変えたいとのこと。そのガーデンのケアは地域住民が里親になって行うので僕に栽培や利用法の指導をしてほしいのとの依頼でした。

 議員の松島さんに初めて会った当日に案内されたのが、板橋区志村にある「板橋区立城山おおぞら広場」でした。
 名前の通りこの公園は、かつて志村城のあった小高い丘の斜面と、隣接する志村児童館の屋上を利用して作られたものです。
この斜面をハーブガーデンにするには何を植栽すべきか?



すぐにひらめいたのがラベンダーでした。松島さんに「ラベンダーがピッタリですね」というと「いいですね!」という答えで、植栽計画はわずか30秒で決定しました。
 続いて屋上ガーデンです。ここのハーブ植栽は里親の皆さんの意見を聞いて決めようということで、まずは「里親を募る為のハーブ講習会」を住民のみなさんが企画しました。
幹事の重松さんらの呼びかけで、30世帯、ご夫婦とお子さんを含めて50人ほどの方々が集まりました。スライドを映写しながらポピュラーなハーブの紹介の後、レモングラスやミントのハーブティーを試飲していただきました。皆さん、ハーブにはとても関心が深く、参加者の全員がこのハーブガーデンの里親になることを希望し、ここに板橋区立城山おおぞら広場里親グループ「はーべすとくらぶ」が誕生しました。
(JCGA会長・外山たら)

                     2002.6 みごとな花を咲かせた「城山おおぞら広場」のラベンダー





  2000年5月25日、子ども達の人気番組「TVチャンピオン・初夏のガーデニング王選手権  第1ラウンド 中学校花壇勝負」が高島第一中学校を舞台に放映され、「高島第一中学校のハーブ園」は一躍有名になりました。

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